夫・ばたです。
これから始まる我が家の物語。
DIY好きなら誰しもが一度は夢見る野望「セルフビルドでマイホームを建てる」。
なぜマイホームをセルフビルドで建てたいと強く思ったのか?まずはそんな話をしていきますので、ぜひお付き合いください。
「山を買って開墾し、そこの木を製材して、在来軸組み工法でマイホームを建てる!」
そんなことを言い出したのはいつの日だったか…。
僕はいままで、いつだって直観に正直に生きてきた。
自分が本当に興味があって楽しいと思える仕事に就き、大好きな旅でいろんな国を自分の足で歩き、そのなかでたくさんの愉快な人たちに出逢うことができた。
これらはすべて、自らの血肉となるかけがえのない機会だったことは考えるまでもないが、40歳を目前に高知県の山間の町に移住し、林業を一生の仕事にしようと心に決めたその時から、さらに人生が加速した感覚がある。
この感覚の移り変わりが、加齢によるものである可能性はちょっと横に置いといて、いつだって「今を楽しむ!」ということに注力してきたのは間違いない。
転機となる「木材コーディネーター養成講座」の受講
遡ってみると、林業を始めるまでは「セルフビルド」なんて、まったく興味がなかったし、はっきり言って、そのワードにさえ一度たりとも引っかかった記憶もない。
「わが家をセルフビルドで…」なんてことを考え始めたキッカケを紐解いてみると、森づくりから木材利用、消費者に届くまでの木材流通を総合的にコーディネートできる人材を育成する講座「木材コーディネーター養成講座」を受講したことにいきつく。
その講座を受ける時間のなかで、「自分が伐った木を最大限有効利用するにはどうしたらよいか?」ということを、じっくり考える機会を得たことが始まりだったように思う。
長期間に及ぶ講座の最後に、各自の木材利用構想を発表する場が設けられており、僕のプレゼンタイトルはズバリ「C材で建築を」だった。
ところでみなさん「C材」ってご存じですか?
木を伐り、さらに市場のニーズに合わせて小切られた丸太は、各林業事業者の采配で各グレードに仕分けされたりして、トラックに乗って山から下りてくる。
具体的にどういったグレードに仕分けられるかというと、製材所などで加工され住宅の構造材や内外装材、家具の材料になる、一番価値の高い「A材」。
集成材や合板の材料となる「B材」。
チップや木質バイオマスエネルギーの燃料となる低質材の「C材」という分類になる。(※木質バイオマスエネルギーの燃料になるものは「D材」との判断もある)
つまり製品化が難しい、いわば”余りもの”であるのが「C材」で、僕の受講最終日のプレゼンの内容は、その「C材」をかき集めて家を建てよう!という主旨で、俗に言う「6次産業化」のようなかたちで、山で木を伐る林業従事者が製材もするという内容なのである。
僕はこの時、林業に足を突っ込んで、ようやく2年ほど経った程度のひよっこで、ほかの講座参加者は長年、林業や製材業に関わってきている人がほとんど…。この発表を聞いて内心では相当あきれてたことだろうと、今では容易に想像できる。でも僕は、気遅れなんてすることなく発表した。
その後の講評では「製材の技術は奥が深いし、そもそも設備を揃えるのも大変なこと」だと言われたりもした。そりゃ当然だ。プロの製材所が買わない丸太で、素人がまともなものを挽けるわけがないし、国内あちらこちらで代々続いてきた町の製材所が続々と商売をたたんでいるようなご時世でもあったのだ。
けど、自分だけは知っていた。
いままでもそうであったように、「本気でやりたいと思ってしまったら最後」なのだ。
講師やほかの参加者からは、優しさを感じる助言や意見をたくさんいただき、無論それらは手放しに賛同してもらえるものではなかったけれど、対する僕の回答はたった一言。
「それでもやりたいんです!」
様々なバックボーンを持った経験豊かな先輩たちの前で公言したことで、後に引けなくなったのは確か。
そして、その瞬間からはや8年が経った…。
そして、役者は揃った(随時参戦者募集中)
勢いは「C材で建築を!」の発表時そのまま…というか、いよいよ始まる「一生に一度の娯楽=マイホーム・セルフビルド」に向けてぐんぐん加速している。
そして、当時と今で大きく違うことがある。こんな道楽を面白がって付き合ってくれる妻が、今は横にいる。
長らく決まらなかった新居の建設地の購入も進み、夫婦で営む林業で伐り出した木を、少しずつ製材し始めている。
走りはじめてみると不思議もので、セルフビルドを面白がってくれる心強い建築士が現れたり、あちらこちらから声がかかり、解体現場や知人の倉庫に眠る不用品である建材や大工道具、電動工具なんかを集めまわってたりと、田舎暮らしのイメージである「スローライフ」には程遠い、せわしくもわくわくする毎日を過ごすことになった。
発端は、若くもない若気の至りの一言。
ほとんどすべてを自分たちで進めるので、なかなか工程が進まず更新も間隔が空くことになりそうですが、わが家が建つその日まで、どうぞよろしくお付き合いください。
さあ、これからが本当の愉しみのはじまりはじまり。